無痛分娩でかゆくなるのはなぜ?全身のかゆみの原因と対処法を現役助産師が解説

無痛分娩

無痛分娩をしていると、多くの方が体をポリポリ掻きはじめます。「なんだか全身がかゆい」「じんましんが出たのかな」——そんなふうに不安になる方もいます。

じつはこれ、無痛分娩でいちばんよく起こることです。でも、なぜかゆくなるのかを説明している情報は、ほとんど見かけません。

現役助産師として無痛分娩の現場にいる立場から、正直に書きます。

🤚 かゆみは、無痛分娩でいちばん多い

私の実感では、まったくかゆくならない方のほうが珍しいです。

研究でも、背中から入れる医療用の麻薬(オピオイド)によるかゆみは20〜100%と報告されています。幅がとても広いのですが、これは使う薬の種類や量によって出方がまったく違うからです。お産のときは、比較的多いほうに入ります。

つまり「かゆくなった」は、めずらしいことでも、失敗でもありません。

🧪 かゆみの正体は「アレルギー」ではありません

ここがいちばん大事なところです。

無痛分娩の麻酔には、痛みをやわらげるために医療用の麻薬(フェンタニルなど)が少量まぜてあります。このお薬が、かゆみの原因です。

ただし、皮膚が荒れているわけでも、アレルギーが起きているわけでもありません。

お薬が背骨のあたりから神経に届いて、脳や脊髄にある「かゆいと感じるスイッチ」を直接押してしまっている——そういう状態です。皮膚は何ともないのに、脳がかゆいと感じている、というイメージです。

だから、こういうことが起こります。

  • 発疹やじんましんは出ない(掻き傷はできます)
  • ふつうのかゆみ止め(抗ヒスタミン薬)が効きにくい。研究でも効果ははっきりしないとされています
  • アレルギー体質かどうかは関係ない

「アレルギーが出た」と思って不安になる必要はありません。

📍 どこがかゆくなる?

研究で典型とされているのは、顔や鼻のまわりです。顔の感覚を担当する神経が集まっている場所に、お薬の影響が届きやすいためと考えられています。

ただ、私が現場で見ている限りでは、掻いているのはお腹・胸・腕・太もも・顔——つまり手が届くところが多い印象です。

おそらく、実際には全身がなんとなくかゆくて、掻ける場所を掻いているのだと思います。お産の最中は自由に動けないので、届く範囲が限られますよね。

⏱ いつ始まって、いつ終わる?

始まるのは、無痛を開始してすぐです。麻酔が効きはじめたころに、ポリポリと掻きはじめる方が多いです。

私の職場では、そのタイミングで「お薬の影響でかゆくなることがありますよ」とお伝えするようにしています。知らないまま掻いていると、不安になってしまうからです。

終わるのは、麻酔の影響がなくなったとき。だいたい2時間くらいです。個人差はありますが、翌日までかゆみを訴えている方は、私は見たことがありません。

お産が終われば消えるもの、と思っていて大丈夫です。

💊 「無痛したけど、かゆくなかった」人がいるのはなぜ?

体験談を読んでいると、かゆみの話がまったく出てこないこともあります。理由は産院によってやり方が違うからです。

  • 使うお薬の種類が違う。かゆみが強く出やすいお薬もあれば、あまり出ないお薬もあります
  • 予防的にかゆみ止めを一緒に使う施設もあるようです。その場合、かゆかった記憶自体が残りません

つまり、かゆくならなかった人と、かゆかった人のどちらかが間違っている、という話ではありません。受けた麻酔の中身が違うだけです。

🙋 現場では、こう対応しています

ここから先は、あくまで「私はこうしている」という話です。無痛分娩をしている産院すべてが同じようにしているわけではないので、そのつもりで読んでください。

かゆみは命に関わるものではありません。なので、私の職場では基本的に様子を見ます。

  • 「なぜかゆいの?」と聞かれたら、「お薬のせいですよ」とお伝えします。これで大抵の方は納得されます
  • 「掻いてもいいけど、掻きすぎると傷になりますよ」とだけ伝えて、あとはご自身におまかせしています
  • あまりにも強いときは、冷やす(クーリング)ことがあります

中には掻き傷ができるくらい掻いてしまう方もいます。そういう方には、早めに声をかけるようにしています。

なお、私の職場ではかゆみ止めのお薬は使っていません(クリニックに置いていないため)。お薬が使える施設なら、使ってもらえると楽になると思います。気になる方は、事前に産院で聞いてみてください。

🤔 麻酔がよく効いている人ほど、かゆみが気になる

これは私が現場で感じていることです。

痛みがしっかり取れている方ほど、かゆみを気にして掻いている傾向があります。逆に、痛みが少し残っている方は、かゆみにあまり意識が向きません。

じつはこれ、理由があります。痛みには、かゆみを抑える働きがあることが知られているのです。かゆいところを掻くと少し楽になるのも、同じしくみだと考えられています。

なので、少し逆説的ですが——かゆいということは、麻酔がしっかり効いている証拠ともいえます。

✅ まとめ

  • かゆみは無痛分娩でいちばん多い副作用。かゆくならない人のほうが珍しい(私の実感)
  • 原因は麻酔にまぜてある医療用の麻薬アレルギーではないので、発疹は出ない
  • かゆみ止めの飲み薬は効きにくい
  • 麻酔が切れれば消える。だいたい2時間くらい。翌日まで残った人は見たことがない
  • かゆくならない人がいるのは、使う薬や予防の有無が産院によって違うから
  • 命に関わるものではない。ただ、掻きすぎて傷になるのは避けたい

かゆいのは、正直しんどいと思います。でも「知らないままかゆくなる」のと「そういうものだと知っている」のとでは、不安の大きさがまったく違います。

知って安心して臨んでもらえたら、うれしいです🌷

かゆみ以外の副作用(発熱・震え・吐き気・血圧低下)は、こちらにまとめています。
▶ 無痛分娩の副作用って何がある?かゆみ・発熱・震え・吐き気を現役助産師が正直に解説

👉 無痛分娩について、ほかにも記事を書いています。全部まとめたページはこちらです。
【無痛分娩ガイド】現役助産師が答えます|費用・流れ・不安のすべて

この記事の感想やご意見は、コメントで聞かせてもらえるとうれしいです😊(個別の医療相談にはお答えできませんので、心配なことは必ずかかりつけの産院にご相談くださいね)

助産師Fujiちゃん

助産師/看護師。関西出身、関東在住。看護師・助産師の免許を取得後、産婦人科の臨床現場で18年間、たくさんの妊婦さん・ママたちに寄り添ってきました。現在は無痛分娩を行うクリニックに勤務中。プライベートでは6人の子どもを出産し、子育て中です。病院の限られた時間では伝えきれない「本当に知ってほしいこと」を、現場の本音とともに発信しています。

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