無痛分娩で安産になるには?現役助産師が正直に答えます

無痛分娩

「無痛分娩で安産になる方法はありますか」——そう聞かれることがあります。

ごまかさずに答えると、「こうすれば必ず安産になる」という方法は、ないと思っています。

身も蓋もない話に聞こえると思います。でも「だから何もしなくていい」という意味ではありません。できることは、ちゃんとあります。

💭 安産かどうかは、その人のポテンシャルによるところが大きい

私がここで言う「安産」は、トラブルなく、スムーズにお産が進むことです。

現場で見ていて思うのは、それを決めているのはその人の体質・体力・精神力によるところが大きい、ということです。

日頃から運動している人、もともと体力のある人は、やはりお産もスムーズに進みます。
いきむのも上手です。妊娠する前の生活が、そのまま出ているという感じがします。

だから言いにくいのですが、妊娠してから生活を変えても、変えられる幅には限りがあると感じています。

——ただ、これを助産師が言ってしまうと元も子もないですね😅
ここから先が大事です。

📖 ——ところが、研究では「やった分だけ効果がある」とされています

ここは私の実感とズレるところなので、そのまま書きますね。

妊娠中の運動について調べた研究をまとめると、こういう結果が出ています。

  • 帝王切開になる人が減る
  • お産の前半(子宮口が開くまで)が、平均で約1時間短い
  • 体重が増えすぎるのを防げる。妊娠糖尿病や、赤ちゃんが大きくなりすぎることも減る

つまり、妊娠してから始めても、ちゃんと効果はあるということです。
私の実感より、ずっと前向きな結果でした👍

ただ、ひとつ興味深いのは——吸引・鉗子分娩については、運動しても差がなかったという点です。

「いきむのが上手かどうかは、もともとの要素が大きい」という私の感覚と、ここは一致しています。

まとめると、やれば必ず安産になる、とは言えません。
でも、やった分はちゃんと返ってきます💪

体重コントロールと運動は、私が自信をもっておすすめできる、数少ないことです。
できる範囲で、ぜひ取り入れてみてください😉

🏃 無痛分娩を選ぶなら、自然分娩の人以上に準備を

ここは、ぜひ伝えたいところです。

無痛分娩を考えているなら、体重コントロールと運動は、自然分娩の方以上にしっかりできるといいと思います🤣

理由はひとつです。感覚がない状態でいきむのは、本当に難しいから💦

普通なら、痛みがあるからこそ「ここでいきむ」というタイミングが分かったり、自然のいきみが入ります。
でも、無痛分娩ではそれがありません。
だからもともとの体の使い方の上手さが、そのまま出ます。

「痛くないから楽できる」ではなく、「痛くないぶん、別の力が要る」と思っておいてもらえたらと思います。

妊婦健診で体重のことを言われると、うるさいなと思うかもしれません。
でもあれは、お産を少しでも楽にするために言っています。
(妊娠高血圧症候群の予防にもなりますし)

そして、完璧でなくて大丈夫です。できる範囲で歩く、階段を使う、それくらいでも違ってきます。
無理なく続けられるくらいが、ちょうどいいのかなと思います☺️

👀 お産がスムーズに進む人に、共通していること

私が現場で見ていて感じることです。あくまで傾向の話です。

  • 体力がある人
      →痛くなくても体力は要ります
  • 昔スポーツをしていた人
      →いきむのが上手です
  • 無痛にする前、痛くても食べられる人
      →お産は長丁場なので、体力が保ちます
  • 前向きな人
      →最後まで頑張れます
  • アドバイスを素直に受け取れる人
      →当日は、スタッフの声かけに乗ってもらえるといちばんうまくいきます
  • 経産婦さん。→これは体の経験値です

ここに当てはまらなくても、心配しないでくださいね。
当てはまらないから大変なお産になる、というわけではありません。

💡 体づくりと同じくらい大事なのが「知ること」

体づくりの話をしてきましたが、それと同じくらい大事なことが、もうひとつあります。

無痛分娩を「してよかった」と思えるかどうかは、体づくりと同じくらい、知っているかどうかで決まると思っています。

知っておいてもらえたらと思うのは、この4つです。

  • 無痛分娩は、痛みを取るだけのものではありません。
      →痛みを取る代わりに起こりうることが、いくつもあります
  • 痛みが完全になくなるわけではありません。
      →高いお金を払ったのに思ったほど取れなかった、ということも起こり得ます
  • 「痛みだけ取って、あとの医療的な処置は嫌」というのは、なかなか難しいです。
      →セットのものだと思っておいてもらえたらと思います
  • 陣痛促進剤、導尿(管を入れて尿を出すこと)、吸引・鉗子分娩の可能性が高くなります。
      →必要になることが多い、というのが現場の実感です

これを知らないまま当日を迎えると、「こんなはずじゃなかった」になってしまうことがあります。

逆に、知ったうえで選んだ人は、たとえ大変なお産になっても「選んでよかった」と言われることが多いです。

🧩 それでも、思いどおりにいかないことがあります

最後に、いちばん伝えたいことを書きます。

お産は、いろんな要素が歯車のように噛み合って、はじめて進みます。ひとつでもうまく噛み合わないと、進みません。

いくつもの歯車が噛み合って回っているイラスト
お産は、たくさんの歯車が噛み合って進みます

そしてその歯車は、ママがどうにかして解決できるものではないことが多いのです。

経産婦さんで「無痛にしなければ、もっとスムーズだっただろうな」と思う方も、たまにいます。
でもそれは結果論です。終わったあとだから言えることで、始まる前には誰にも分かりません。

安産になるかどうかは、誰にも分かりません。
お産は、すべて結果論です。

だから——思いどおりにいかなくても、落ち込んだり、自分を責めたりしないでほしいなと思います。
それは全部、頑張った結果です。
何かが悪かった、という単純なものではありません。

安産になればラッキー。大変なお産だったら、それはそれで仕方なかったと受け入れる。
その心の持ちようも、大事な準備のひとつだと思っています。

✅ まとめ

  • 妊娠中の体重コントロールと運動は、やった分だけ返ってきます。
    研究では、帝王切開が減り、お産の前半が約1時間短くなるとされています
  • 無痛分娩を選ぶなら、自然分娩の方以上にしっかりできるといいですね。
    感覚がない状態でいきむのは難しいからです
  • 体づくりと同じくらい大事なのが「知ること」。
    促進剤・導尿・吸引や鉗子の可能性が高くなることを、知ったうえで選んでもらえたらと思います
  • お産はすべて結果論です。
    思いどおりにいかなくても、自分を責めないでくださいね

準備できることは、できる範囲でやる。あとは受け入れる。それでいいと思っています🌷

👉 無痛分娩について、ほかにも記事を書いています。全部まとめたページはこちらです。
【無痛分娩ガイド】現役助産師が答えます|費用・流れ・不安のすべて

この記事の感想やご意見は、コメントで聞かせてもらえるとうれしいです😊(個別の医療相談にはお答えできませんので、心配なことは必ずかかりつけの産院にご相談くださいね)

助産師Fujiちゃん

助産師/看護師。関西出身、関東在住。看護師・助産師の免許を取得後、産婦人科の臨床現場で18年間、たくさんの妊婦さん・ママたちに寄り添ってきました。現在は無痛分娩を行うクリニックに勤務中。プライベートでは6人の子どもを出産し、子育て中です。病院の限られた時間では伝えきれない「本当に知ってほしいこと」を、現場の本音とともに発信しています。

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